hatuburg

「きっといつか、あそこで最後に目を閉じることになるかもしれないわね」 　英国北部、ノーサンバーランド。灰色の北海に臨むこの地の屋敷で、プリズムリバーの名を持つ姉妹四人――ルナサ、メルラン、リリカ、そしてレイラは、英国外交官アルジャーノン・バートラム・プリズムリバーの娘として生を受けた。 　騒がしくも睦まじく、時に喧嘩し、時に結束し、年相応の少女として、〝レディ〟へと花開こうとしていた姉妹たち。 　だが彼女たちは、二つの人ならざるモノと出会ってしまう。 「貴方達も忙しいようだから、手短にしてあげましょう。――何の目的があって、異国の人外風情が、このロンドンにやって来た？」 　帝都の闇に棲む吸血鬼、レミリア・スカーレット。 「科学の狂信者に成り果てた人間達は、こうしてガス灯を並べ立て、夜という不可触の魑魅魍魎すらも征服した！」 　そして、極東の異境より来たりし使者、八雲紫。 　交わることなどなかったはずのモノたちが、世界の中心帝都ロンドンで縁を結び、そして壊れていく物語。 　◆　◆　◆ 第11回博麗神社例大祭（2014年5月）に頒布した東方projectの二次創作小説。 19世紀イギリスを舞台に描かれた、プリズムリバー四姉妹の前日譚です。 また現実の20世紀イギリスに生きた「ミットフォード姉妹」へのオマージュでもあり、彼女たちの半生をプリズムリバー姉妹の生い立ちに反映させています。 PDF版、本文78頁。